• おはようございますみそソムリエ川辺です☆彡

    今回は麹の役割のお話です。

    発酵に欠かせない日本の伝統的な発酵食品の麹は、蒸した米や麦などの穀物に『麹菌』という、日本固有のカビを繁殖させたもので、そのルーツは奈良時代までさかのぼるほど、古くから日本の食文化を支えて来ました。

    味噌や醤油、酒にみりんの原料として麹は使われています。飲む点滴と呼ばれる甘酒にも使われています。ではその日本の伝統的な発酵食品『麹』は、味噌を作る時にはどのような役割をするのか、今回ご説明したいと思います。

    先ずはその米麴の作り方から☆

    米麹の作り方は、いろんなやり方や製麹方法があるので、これが正しい作り方とは言えないそうですが、僕が蔵元の職人さんに教えて頂いた作り方では、

    まずは米を一晩水に浸け、木桶で蒸した米を適温まで冷やし、蒸米に約20%の種麹菌をまぶし室に移します。その後、温室で温度などを調整するために手入れし、30℃から40℃を維持し、2日程度置き、ハゼ込み(カビの育ち具合)や香りをチェックし麹の完成です。

    『米蒸し3年、豆炊き5年、麹と仕込みは一生』という言葉があるくらいで、麹作りを極めるには一生かかるほど、非常に繊細で奥が深いです。

    ※『切り返し』麹の温度を均一にするために行う作業

    完成した麹というカビの一種は、人間にとって悪さをしない、食品として食べることが出来る特別なカビです。このカビがびっしり生えた『麴』は味噌作りにおいて、発酵のスターターの役割を果たしてくれます。

    ※米麴

    麹菌は、熟成中にアミラーゼやプロテアーゼと呼ばれる酵素が出来ることにより、味噌の原料であるデンプンやたんぱく質などが分解され、ぶどう糖やアミノ酸、脂肪酸が生まれ、味噌の美味しさの秘密である『旨味』や『甘味』を作ってくれます。麹に含まれている酵素は、食材の栄養を身体に吸収する手助けをしてくれます。消化・吸収をスムーズに行うことで、胃腸の働きを助けると考えられています。さらに老化防止やがん、生活習慣病のリスクを抑える成分まで生み出してくれます。ちなみに味噌では、ぶどう糖は甘味の素、アミノ酸は旨味の素、脂肪酸は香り素となります。

    ※このアミラーゼは唾液にも含まれている消化酵素です。ご飯を何度も何度も噛んでいるうちに、ご飯が甘くなった経験はありませんでしょうか?あれは唾液中のアミラーゼが米を分解し、米の持つ甘さを引き出した結果に起こったことなのです。

    さらにその麹菌が作った、旨味や甘味につられて乳酸菌や酵母など、他の発酵菌が寄ってきます。この乳酸菌や酵母が今度は味噌にとって、これまた大切な『酸味』や『香り』を作り出します。これが味噌特有の味の深みを作り出していくということなんです。

    麹の役割とは、大豆・米・麦などが秘めた、旨味と甘みを引き出す重要な役割をしているので、味噌作りにとって、麹菌は絶対欠かせないですね。

    今日も最後まで読んで頂きありがとうございます☆彡