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こんにちはみそソムリエの川辺です☆彡
今日は味噌の歴史その②
室町時代から現代までに触れたいと思います。
室町時代(1336年~1573年)になると、急速に味噌が日本社会に浸透していったといわれます。大豆は中国大陸東北部を原産地とする作物で、土地が痩せてもいても栽培できる大豆・稗・粟の栽培奨励策が出され、それによって大豆の生産量が増えました。
自然栽培で作っていた麹菌も安定した麹菌作りが出来るようになってきたので、農民たちが自家製の味噌を作るようになり、味噌が保存食として、庶民の生活のも少しずつ普及してきました。また当時から定期的に襲ってくる干ばつや飢餓などの際、味噌を自家醸造して2年~3年分蓄えてあることが大きな支えとなったため、農家はもとより武家屋敷などでもみどの仕込みを定期的に行うことはたしなみとして奨励されるようになりました。
また現代に伝わる基本的な味噌料理のほとんどが、この時代に作られたと言われています。 『武家にては、必ず飯わんに汁かけ候』というように、ご飯に味噌汁をかけて食べるのが、普通だったようです。更に、室町時代に末期には、味噌を造る過程から醤油が発明されと言われています。
武将たちが天下を取ろうとしのぎを削った戦国時代。戦国武将は戦場での食料に味噌を持参しました。味噌は調味料であるとともに、貴重なタンパク源で、戦闘の能力はこれらのエネルギー源に大きく左右されます。戦場で保存可能な栄養食であったこともあり、味噌玉として携帯し、おかず変わりにかじったり、お湯にといて味噌汁にしたり、干したり、焼きなりして携帯しやすくしたて重宝されていました。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の3人と豆味噌が盛んな地方で生まれ、武田信玄が信州味噌の基盤を造り、伊達政宗の奨励した日本初の味噌工場『塩噌蔵(えんそぐら)』は今も仙台みそとして、その地方で愛され続けています。
戦国時代には『汁講』という味噌汁パーティーがあったそうです。客人はご飯を弁当箱に詰めて持参し、もてなす側の主人は味噌汁を用意し、鍋のまま客人の集う座敷に持ち出され、みんなで賞味し、酒を酌み交わす宴。歌ったり踊ったり楽しい時間を過ごしたと言われています。単に汁かけ飯を賞味し合っただけではなく、親睦や情報交換の場で、味噌がコミュニケーションツールになっているところに、社会への浸透ぶりが伺えます。
江戸時代に味噌は全ての日本人の日常の食生活に欠かせない調味料として定着していきます。江戸の人口が50万人に達し、味噌の需要に対して、江戸や近郊で取れる生産量では追いつかなくなり、三州味噌や仙台味噌が海路で江戸まで運ばれ、味噌屋は大繁盛しました。『味噌買う家は蔵建たぬ』という言葉があったように、武士・農民・商人は自家醸造しており、味噌を買うのは庶民だったようです。
『味噌の商品化』がおこったのはこの時代です。また、江戸の人口は女性より男性が多く、外食が発展し、味噌を使った料理も同時に発達していきました。味噌汁が庶民の味となって飲まれ始め、味噌が生活に馴染んでいき、『東海道中膝栗毛』には各地の味噌料理が紹介されます。
第二次世界大戦の頃に、味噌は貴重な米を使用することから製造は制限され、一般市民が味噌を製造することも禁止となっていた時代もありました。戦後の高度成長と共に人々の食生活が西洋化し、和食離れが起こりました。
昭和29年(1954年)に学校給食法が制定されると主に小学生を対象にパンを主食にメインの副食を動物性食品という組み合わせの給食を食べたことにより、学童の体格は身長・体重が飛躍的に向上し、その一方で、学校給食で育った世代は洋食やパンを好み、米飯中心の日本食から洋風食へと変わっていきました。これにより国民の米消費量が下降の一途を辿っていき、これにつれて味噌の消費量も落ち込んでいきます。
昭和45年一世帯当たり年間購入量 15.7㎏ 1人当たり 4㎏
昭和63年一世帯当たり年間購入量 10㎏ 1人当たり 2.7㎏
平成23年一世帯当たり年間購入量 6.2㎏ 1人当たり 2㎏
味噌の生産手段も大きな変化が起こりました。機械化の普及、温醸技術の確立、殺菌手段の進歩で味噌は『作るもの』から『買うものに』になり、味噌の容器は樽から冷蔵庫で収納しやすいカップへと変化します。だしを取る手間を省いても美味しい味噌汁を作ることができる『だし入り味噌』やフリーズドライの味噌汁も登場し、手軽に簡単な味噌汁が登場しました。
食の欧米化により今は味噌にとっては恵まれた環境とは言えない時代ですが、2012年日本の和食がユネスコの無形文化遺産として登録されたことにより味噌が国内でも再び、世界からも注目を浴び始めています。日本のみならず世界で健康志向が高まっていることから、海外からの需要も徐々に増えています。味噌はどのような国で輸出され、どのような国で注目を浴びているのか、またこちらのブログにてアップしたいなと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます☆彡
参考資料:『味噌大全』 渡邊敦光 東京堂出版