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こんにちはみそソムリエの川辺です
日本人にとってかかせない食品のひとつ「味噌」。
先人たちの言葉から、いかに味噌は庶民にかかせないものだったということが伺えます。各家庭で仕込む「手前みそ」が当たり前だった江戸時代からみそを用いたことわざが多く登場したといわれています。今回は味噌を用いたことわざの一部をご紹介させていただきます。
◇手前味噌
自分で自分を褒めること。これは現代でも使われていますね。「手前」は自分のすぐ近くを指すのではなく、「自分(の家)でつくった)」ことを表します。当時は各家庭で味噌を作るのは当たり前で、各家庭独特の美味しさ、特徴があったんですね。
◇みそは朝の毒消し
味噌は栄養価が高いので、朝、みそ汁を1杯飲むことで体の中の毒をだしてくれる、体調が整って健康が維持できる、という意味。二日酔いで体調が悪い時でも味噌汁が良いと言われてますが、これは味噌に含まれる「コリン」という成分が体内のアルコールの排出に作用するためだそうです。
◇みそ汁は不老長寿の薬
みそ汁には元気で長生きできる栄養がいっぱいあるという意味。みその他、具に海藻や野菜、魚介を使うので、栄養面でも補われます。
◇みそ汁は一杯三里の力
1里は約4㎞。1杯のみそ汁には12㎞を歩ける栄養がつまっているとう例え。朝一杯のおみそ汁は1日の活力となります。
◇焚火(たきぎ)1丁、みそ雑炊三里
焚火の温かさが続くのは1丁(1町。約110メートル)だが、みその雑炊を食べたら(約12㎞)は温かいので歩ける。
◇生みそは腹の妙薬
良質なみそは消化薬にもなる、という意味。生みそは酵母も乳酸菌がより元気なので、腸内環境が良くなって便秘や下痢になりにくくなるとも受け取れますね。
◇手前みそを並べる
自家製みそ(手前みそ)を並べて、出来の良さ、美味しさを自慢しあったことから、自分や身内を褒めたり自慢すること。自画自賛すること。
◇みそは七色の妙薬
みそは使い方はいろいろ。使用次第でいろいろな味を出せる、という意味。
◇みそで呑む一杯、酒に毒はなし
酒も百薬の長だが、味噌をつまみにして飲めば害がないという例え。江戸時代の食の専門書「本朝食艦(ほんちょうしょっかん)」に「大豆の甘、温は気を穏やかにし、腹中をくつろげて血を生かし、百薬も毒を消す」などが味噌に対する認識の礎になったのです。
◇味噌の医者殺し
味噌を食べていれば健康で医者にかかるようなことはないので、医者は儲からず、商売上がったりだ、という意味。味噌汁の医者殺し ともいうようです。
◇医者の金を払うよりも、みそ屋に払え
病気になり医者に金を払うよりも、普段から毎日みそ汁やみそ料理を食べていれば、医者に大金を払うようなことにはならない、という意味。
◇みそ汁はたばこのずをおろす
みそ汁を飲むことでたばこの害、毒もデトックスできる。
◇味噌に入れた塩はよそへ行かぬ
味噌をつくる時に使った塩はすべて味噌とともに食べることが出来ます。一見無駄なこのに見えても、結局は自分のためになるとういう例え。
◇みそを買う家には蔵立たぬ
江戸時代、みそは自家製が当たり前だったため、みそを店で買うような家はお金が貯まらない、とういう意味。現代では味噌は買うのは一般的で、当時に比べて低価格で美味しい味噌がたくさん作れるようになった技術の進歩に感謝したいですね。
当時は食卓だけではなく、会話でも味噌は大活躍だったことが伺えますね。
家族や友人の前で、何気ない日常会話でしれっと、このことわざを使ってみても粋な感じで、面白いかもですね(笑)