-
こんにちは みそソムリエの川辺です☆彡
先日、大阪の南の方面、奥河内の『大地の里友邦』という、のどかな田舎でお味噌を手作りしてまいりました。コロナウイルスの影響なのか、参加者は僕と嫁さん二人だけでしたが、とても親切な講師の方と和気あいあいで、とても楽しめました。味噌作りはシンプルなようで奥が深く、それぞれの場所でそれぞれの拘りがありますので、毎回発見があり、とても勉強になります♪最後に自分が作った味噌の完成品でお味噌汁を頂きましたが、これはもう格別の味わいで、いまから出来上がりが楽しみであります♪
さて今回も前回に引き続き、麹についてご紹介していきたいと思います。以前にもご紹介いたしましたが、味噌は原料・味・風味・色などによってさまざまな種類に分けることが出来ますが、麹を不可欠とする点は共通しています。米麴を入れれば米味噌に、麦麹を入れれば麦味噌に、大豆のすべてを糖化すれば豆味噌になります。
そもそも、味噌はなぜ麹をつかうのか?
月並みなことを言いますけれども、麹を発明した方って本当に凄いなと思います。麹菌はもともと稲に住んでいる菌で、稲作の渡来と共に日本列島に入り込み、日本の風土が適していることから、自然界に広く生息し、日本の常在菌となったそうです。
では味噌作りにおいて、麹の役割は何なのか。ずばりそれは『酵素を得るため』です。酵素とは、生物によって作られる高分子タンパクからなる有機触媒の総称で、その働きの違いからたくさんの種類があります。その働きとは物質の分解です。味噌においては、麹菌の『酵素』の力を借りて、大豆や米や麦などの原料の成分が酵素によって分解され、組成の軟化が生じ、素材が秘めている旨味と甘味を引き出す、とても大事な役割を担っているということです。そして、酵素による分解された分解生成物は、『酵母』や『乳酸菌』などの微生物の栄養分となり、味噌の味、香り、組成、いるなどを造り出していきます。ただ大豆とお米と塩を捏ねて混ぜたものでは味噌は完成しないということですね。
麹菌が持つ酵素は、デンプン質を分解する酵素(アミラーゼ・甘味)だけではなく、たんぱく質を分解する酵素(プロテアーゼ・旨味)を併せ持つなど、世界的にも優秀な微生物と言われています。
僕は海外旅行に行くと最初の2日くらいは、パンケーキやパスタやピザ三昧で、洋食でも生きていけそうなんて最初は思うんですが、3日目くらいから、『味噌汁が飲みたい』、『醤油をかけた卵かけご飯が食べたい』ってなります。これは僕の主観なんですが、普段何気なく食べている味噌汁や醤油は、麹の働きによって得た旨味や甘味で『軽い中毒』になっているんじゃないかなと思います(笑)いつの間にか、味噌汁がないと生きていけない身体になっていました。でも身体が喜ぶ栄養満点な物で中毒になってるなら、幸せなことですよね。
ここでちょっとした豆知識をご紹介!
こうじ製品の中での漢字表記で『麹』と『糀』がありますよね。
その使い分けはどう違うのか調べてみました。
【”麹”と”糀”の違いについて】
もともと麹は、中国の小麦粉で出来た餅にコウジカビが生育たもので、「麹」と表記されていました。これは麦に菊の花が咲くように見えることから、このような字が付けられたといわれています。その後、日本では蒸し米にコウジカビが生育して花が咲いたように見えることから、「糀」という字が作られました。現在では、学術的には「こうじ」を用い、種麹屋によって製品化されたものを「糀」と書くことが多いようです。そのため、「麹菌」と書きますが、「糀菌」とは書きません。
それぞれに意味があり、ちゃんと線引きもあるようですね。では今日はこの辺で!最後まで読んでいただきありがとうございます!
参考資料:『味噌大全』渡邊敦光(東京堂出版)